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エンジニア育成担当者の側からクラウド時代を生き抜くためのIT資格を考えてみた

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 最近のシステム開発は自動化されたり、管理が不要になったりする領域が増えていますね。しかし、採用する技術を決め、システムを設計し実装するのはやはりエンジニアです。システム開発を行う企業の能力は、在籍するエンジニアのスキルで決まります。そこで今回は、これまでの回とは立場を変えて、資格取得を推進する側(企業側・組織側)から「クラウド時代を生き抜くためのIT資格」とは何かを考えてみたいと思います。

エンジニア育成担当者の苦労

 私は仕事柄、企業でエンジニアの育成を担当されている方とお話しする機会が時々あります。企業ごとに教育や認定資格取得の推進について多少の温度差はありますが、一定の業績を上げ続けていくためには、エンジニアの教育や資格取得が必要であるという認識は概ね共通しています。

 育成担当者は、限られた予算の中で、業務に役に立つ教育や認定資格を選別し、社員に啓蒙を促し、一定の成果を上げなければなりません……と言葉でいうだけならとても簡単なのですが、いろいろとご苦労もあるようです。

限られた予算で最大の成果を上げるには

 本コラムでこれまで紹介してきたとおり、幅広い知識を必要とされるクラウド時代のエンジニアにとって、教育や認定資格は必須のものといってよいでしょう。

 私は年間数百人を対象にトレーニングを実施していますが、先日担当したクラウド関連のトレーニングに「自費で参加してます!!」という方がいらっしゃいました。その方に自費での参加を決意した理由をうかがうと、

「現在の業務ですぐ必要ではないけれども、打ち合わせの席や現場ではクラウド関連のキーワードが頻繁に飛び交っているので、クラウドの基本的な知識を身に付けたいと思ったんです。自分のスキルアップのために資格取得も目指したい」

とおっしゃいました。会社に対しトレーニングの必要性を訴え、稟議も提出したそうですが、結局、稟議は通らなかったとのことです。

 現場のエンジニアは皆さん、自分に足りないと思う部分を補うために必要なものをキャッチアップする力を備えていると思います、また、この方のように補うのは「今この時」であって、半年先や1年先ではないのです。その点において、エンジニア育成の担当者・担当部署とはちょっとズレがあるように、私は感じています。現場が感じる必要性と、それをサポートする育成担当者の考えに、距離や温度差があるのです。

 そんな話を育成担当者の方とすると、「予算が限られているからね〜」とお決まりの台詞が返ってきます。でも、よくよくお聞きすると、限りはあるものの、教育や資格認定のための予算が全くないわけではないのです。

 大きな組織でありがちなのは、受講可能な教育タイトルが組織で決められているケース。それ以外の新しい教育タイトルをタイムリーに受講するのは難しいようです。一方、比較的小さな組織でありがちなのは、教育に投資した分のリターン(利益)が見えるものにしか予算を割けないという傾向があります。これって、幅広い知識をタイムリーに必要とするクラウド時代のエンジニア像から、ちょっと逆行している感じがしませんか?

問題なのは予算ではない

 昨年、弊社(ヴイエムウェア)が米国で開催した「VMworld」というイベントに参加したとき、とても印象に残ったプレゼンテーションがありました。それは「成功するための秘訣の1つはルールを変えることだ!」というものです。

 システム環境をオンプレミスからクラウドへシフトするだけで、サービス提供に必要な全てのインフラストラクチャを短時間で準備できる。それで、数人で立ち上げた企業が、歴史ある大企業と同じ舞台で競うことが俊敏性をもって実現できる。古い慣習(ルール)にとらわれていると大きなチャンスを逃しかねないですよ! ということを伝えるセッションでしたが、私はそれと同じ思考で、エンジニア育成についてもルールを変えてみてはどうだろうと思うのです。

 まず、取得を目指す認定資格の選択はエンジニアに委ねる(もちろん最低限の予算と手続きは必要)。そうすることで、受講可能な教育の間口を広げることができます。その上で、教育という投資のリターンを広く受け止め、長期的な展望で可能性を探ってみる。

 ルールを変えることにお金はかかりません! 予算は現状のままルールを変えるだけで、現場のエンジニアは、自分が必要と思う教育や認定資格をタイムリーに受けられるのではないでしょうか。

◯◯ as a Serviceの時代だからこそ

 仮想化によってハードウェアが抽象化され、システム構築は物理インフラからどんどん遠ざかっています。また、IaaSだのPaaSだのSaaSだのと、何でも「◯◯ as a Service」としてインターネット経由で俊敏に提供される時代です。開発に求められるスピード、技術トレンドの変化のスピードもどんどん増していくでしょう。

 本稿で何度も「タイムリーに」と言っているのは、時が待ってくれないからです。技術に振り回されてしまいそうですが、◯◯ as a Serviceのサービスを支えているのはやっぱり人だということも、忘れてはいけません。

 現場のエンジニアの知識の深さは、そのまま業績向上への原動力となるはずです。幅広くかつタイムリーにエンジニアの知識向上を図るためにはどのような仕組みが必要なのか。また、それに向けて現状の仕組みをどう変えていくのか。エンジニアの育成を担当している方は、その点を柔軟に考えてみてはいかがでしょうか?



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